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映画『オッペンハイマー』を観ました。

”nearly zero(ほぼゼロ)” 先週、映画『オッペンハイマー』を観てきました。期待に違わぬ、クリストファー・ノーランの映画でした。 ノーランは、オッペンハイマーという人物の上昇と転落の物語を通じて、科学者の、もっといえば人間の、探究欲や嫉妬心にはブレーキが利かないという、...

2016年8月7日日曜日

小説「ワンダー」と素敵な子供たち

ほるぷ出版のワンダーのページに掲載されていた、作者J.R.パラシオさんのインタビュー記事を読みました。
この物語は、実際にパラシオさんが経験したある出来事が、執筆のきっかけであったと語っていました。その出来事は、ジャックの章で、ジャックが初めてオーガストと出会ったエピソードとして描かれていました。
ジャックがまだ五歳くらいの時、弟と一緒にベビーシッターのお姉さんに連れられて近くの公園に出かけベンチでアイスクリームを食べていたときに、横にいたのがオーガストの家族でした。そしてオーガストの顔を見た弟が突然に泣き叫び、次にはジャックと二人して家族を傷つける言葉を発するのではないかと危惧したお姉さんが、一目散でその場を離れたとエピソードには書かれていました。
この時の、ベビーシッターのお姉さんが作者パラシオさんで、泣き叫んだのは二人のお子さんでした。その夜、パラシオさんはその場を逃げるのではなく、普通に話し掛けて、子供たちに別の対応を示すべきではなかったかと反省とともに考えて、この物語の執筆を思い立ったと語られていました。
そして物語は、オーガストの物語だけではなく、オーガストの周りにいて、ほんの少し余分に親切を自分自身に課したジャックやサマーなどの子供たちの物語も丁寧に描かれていました。
ですからこの物語には、とても繊細な問題に対して、さまざまな意見や感性を持つ子供たちや大人たちを当事者の気持ちにさせて引き込む力がありました。
私は修了式で、ジャックにもその親切を賞賛する金メダルを授けて欲しかったです。
そしてもうひとり、お姉ちゃんの友だちのミランダには、オーガストに他人でも信じられる気持ちを育んだ、ミランダの優しさと無二の愛に対して金メダルを授けたいと思います。

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